当時、ダムの水が干上がってしまったというニュースが流れていた。
ダムの底が見られる機会なんて滅多にないことから、的場さんは友達とドライブがてらダムを見に行った。
車が峠道を走っていると、コーナーのところに白い服を着た女の人が立っていた。
時刻は深夜12時。
明らかにおかしい。
的場さんたちは、車の中で話し合ったそうだ。
「今の女の人は、悪い男たちにナンパでもされて、ここで降ろされてしまったのでは?可哀想だから、下まで送ってあげようよ。」
そういう結論になり、引き返してみた。
引き返してみると、先ほどの女の人はいない。
もしかすると、的場さんたちを見て怖がらせてしまったのではないか、女の人はどこかに隠れてしまったのではないか、と思ったそうだ。
車から降りて、「大丈夫ですよ。下まで送ります。隠れてないで出てきて大丈夫ですよ」と声をかけるも、女性は出てこない。
仕方なく、先ほど女性が立っていたところまで行ってみると、そこには大量の花束が置いてあった。
これは、視てはいけないものが視えてしまったのか、と思いすぐ車に戻る。
しばらく車を走らせると、土砂崩れで道が行き止まりだった。
右に曲がれる道があったため、右に進む。
その道を進んでいると、また土砂崩れで進めない。
また、右に曲がれる道があったため、そちらに進む。
そちらは林道で、道幅が狭い。
舗装もされておらず明かりもない林道だった。
進めば進むほど道幅は狭くなっていった。
さらには、右側が崖になっている。
もうUターンもできないため、進むしかない。
進んだ先は、また土砂崩れで行き止まりだった。
右は崖でUターンはできない。
左を見てみると、左側は広いお墓だった。
山の上の方まで全部お墓だった。
これはヤバい、と直感的に感じたそうだ。
的場さんは、運転していた友達に「バックしろよ。」と伝える。
だが、友達は「後ろなんか見たくないよ。視えちゃいけないモノが視えちゃいそうだから。」とビビってしまっていた。
仕方なく、的場さんが運転を替わる。
バックで慎重に進みだすと、突然お墓の方から女の笑い声が響き渡った。
「うーふふふふふふふふふっーーー」
それを聞いた瞬間、ブレーキを踏んだ。
そして、辺りには静寂がこだましている。
次の瞬間、的場さんはアクセルを全開に踏み込んだ。
崖から落ちる恐怖よりも、得体のしれない恐怖が勝ってしまったようだ。
そのときの、女の笑い声が今でも耳に焼き付いているそうだ。